正福寺のお地蔵様について

 

東村山は、鎌倉時代に“鷹狩り”の名所として知られており、北条時宗もたびたび鎌倉からこの地を訪れていました。

ところがある晩、東村山に滞在していた時宗公は、生死をさまようほどの大病にかかり床に伏してしまいます。その夜、夢の中にお地蔵様が現れ、「これを飲めば病は治りますよ」と丸薬を差し出しました。時宗公が夢の中でその薬を口にすると、翌朝には不思議なことに病がすっかり癒えていたのです。

驚いた時宗公が周囲を調べると、小さなお地蔵様を祀った祠がありました。「このお地蔵様が命を救ってくださったに違いない」と考え、祠の地に正福寺を建立したと伝えられています。

時は流れ室町時代。当時の伝説を聞いた人々は、「自分もお地蔵様のご利益を受けたい」と願い、正福寺からお地蔵様を一体お借りしました。そして病気が治ると、借りたお地蔵様を返すとともに、自ら新しく彫ったお地蔵様を添えて返すようになりました。この風習が繰り返されるうちにお地蔵様はどんどん増え、祠に収まりきらなくなり、1407年に地蔵堂が建てられるに至ったのです。

その後、この地蔵信仰はいったん途絶えますが、江戸時代後期に再び盛んになりました。現存する小地蔵の中で最も古いものは、この江戸後期に作られたものとされています。

 

地蔵まつりについて

「地蔵まつり」は、正福寺に伝わる地蔵信仰を現代に受け継ぐための大切な行事です。

毎年11月3日(文化の日)に正福寺にて執り行われ、その際に1体のお地蔵様をお授けいたします。お地蔵様をお迎えいただき、1年間ご家庭でお守りいただいた後、翌年にご返納いただきます。そして新たにお地蔵様をお迎えいただくことで、信仰の心を代々つなぎ続けてまいります。

(※お地蔵様は一体3,500円です。)

あわせて、当日は東村山の特産品の販売や、副住職夫婦によるピアノと打楽器のコンサートも催されます。どうぞお誘いあわせのうえ、ご参拝ください。

地蔵まつり(東村山市ウェブサイト)